I think... 現在の思い

全て表示  M&A  雑感  社会  

« プロの瞬発力と組織の硬直性 | トップに戻る | 「今しかできないこと」を精一杯やること »

雑感

「価値と対価」について:「青色LED訴訟」に思う

2005年01月13日

平成17年1月12日、青色LED訴訟に関して東京地裁の勧告で中村教授と日亜化学が6億円で和解したとの報道が流れた。東京地裁で200億円だったものが6億円で和解とはおかしいなと思っていた。やはりその後、中村教授は「100%私の負け、日本の司法は腐っている」と記者会見した。一方、日亜化学は「主張が認められた」と勝利宣言とも思える発表があった。これを見ても明らかなように、今回の和解金額は余りにも低い

確かにその青色LEDの特許を見たわけでもなく、中村教授がどの程度その発明に主体的に関与していたかを知っているわけでもないが、私も技術者としてある時期を過ごしたことがあり、ある程度の相場観があ驕B中村教授がいなければ今の日亜化学の収益基盤はできていなかっただろう、明らかに中村教授の発明の価値は大きいと推測される。またその発明の「価値」は6億円なんてものではないだろう。「価値」の計算の基本となる利益額を、東京地裁では1200億円であったのに対し、今回の高裁はその10分の1の120億円とした模様である。開発できないであろうと言われていた世界で初めての青色LED技術の基本特許の価値が120億円のはずはないような気がする。また、特許の価値について、味の素の訴訟等これまでの裁判では利益の5%が発明者の貢献分であるとしている。研究経験のない裁判官だから仕方がない面もあろうが、対象特許の利益自体を堅く低めに見積もっているような状況下で、発明者の貢献分が5%とは低過ぎる。
しかし特許の「価値」の議論とは別に、ここで問題となってくるのがその「対価」である。個人と組織とのGive & Takeの関係である。「価値」があるから必ずそれに相応しい「対価」が支払われるとは限らない。転職の動機で最もおおいのが、働く人が自分で考える価値よりも低い対価しか支払われていないということであろう。そもそも、どこかの組織に所属するということは、その組織のきまりに従うことが前提になっているはずである。もともともらえる仕組みであったのならともかく、もらえない仕組みであることを分かっていて後でその「価値」に相応しい「対価」を要求できるかということが問題となる。本来、「価値」に相応しい「対価」が支払われるべきであるが、それまでの「対価」の支払い方を変えてまで支払うべきであろうかということである。
今回の中村教授の訴訟の件は、残念ながら、「価値」に相応しい「対価」を支払われる仕組みのない会社にいたので、満足いく額を得ることは難しいと思う。しかし、特許の「価値」自体は和解で示されたよりも圧倒的に高いと思う。今後同様の発明に対してはそれに相応しい「対価」が支払われるよう、また世に発明の価値を認識させられるよう、6億円を失ってでも和解せずに頑張って欲しかったような気がする



最新の記事

2014年12月24日
インテグラル: 日本型バイアウト市場の拡大を目指します。

2009年06月13日
本気で「郵政民営化」する気があるのか?

2006年09月13日
Random Talk一時休止について

2006年09月02日
正当防衛は当然だが、戦闘は避けるべき

2006年08月26日
安倍官房長官の武器使用発言は危険

2006年08月16日
ロシアの漁船拿捕銃撃事件:予期せぬ出来事への瞬間的反応

2006年08月12日
富士登山:目指し続けると目標に近づける

2006年08月10日
日経ネットのBiz+Plusコラム掲載(第3回)

2006年08月06日
夏の高校野球:力の上のものが勝つとは限らない

2006年07月27日
出る杭は打たれるか?

バックナンバー

2014年12月

2009年06月

2006年09月

2006年08月

2006年07月

2006年04月

2006年03月

2006年02月

2006年01月

2005年12月

2005年11月

2005年10月

2005年09月

2005年08月

2005年07月

2005年06月

2005年05月

2005年04月

2005年03月

2005年02月

2005年01月

2004年12月

カテゴリー

M&A

雑感

社会

おことわり

このブログでは、トラックバックを歓迎していますが、トラックバック先の内容を引用して掲載させていただいたりする可能性もございます。
またその内容が掲載に不適当と判断させていただくものは予告なく削除させていた場合があります。

以上のことをあらかじめご了承いただいた上で、トラックバックしてくださいますようお願い申し上げます。

 

Syndicate this site (XML)

Movable Type 3.01D-ja