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M&A

M&Aアドバイザーの利益相反問題(商事法務 NBL No.800掲載分)

2005年01月01日

日本の再生M&Aにおいては、主力銀行の関連証券会社が債務者のM&Aアドバイザーになるケースが多い。最近の例で言えば、ダイエーのアドバイザーを主力3行の関連証券会社が務めていた。カネボウも主力銀行の関連証券がアドバイザーであった。これら銀行系証券会社のM&Aチームのいくつかの力量は高く評価するも、親銀行が債務者の主力取引行であるという構造上A親銀行の利益よりも依頼元の利益を優先できるかというと、それは困難といわざるを得ない。銀行系証券会社は、親会社である銀行とチャイニーズウォールがあるという。しかし、子会社である証券会社の人事権は実質的に親銀行が持っており、そのような状況で、本当に依頼元である債務者の利益を優先し債権者である親銀行と対峙できるのだろうか。それはありえない。

その他、証券会社がアドバイザーとなる場合、その証券会社がM&Aの交渉相手先の主幹事先であるケースもある。主幹事証券先を相手に厳しい交渉をするのは容易ではなく、銀行系の証券会社同様の利益相反問題が生じる。その他、外資系投資銀行の中には、売手側である売却対象の企業のマイノリティーの株主でありながら、買手側企業のアドバイザーをしていたりすることもある。買手側のアドバイザーであるにもかかわらず、買収代金が大きい方がその投資銀行の収入が増えることになる。実際に、その案件の買収金額は外から見る限り高い。
上記のように日本のM&A市場においては利益相反問題があらゆるところに存在するが、これまで問題視されてこなかった。このような状況は利益相反に敏感な米国においては考えられない。では、なぜか。何の利害関係もないしっかりした独立系のM&Aアドバイザー会社がないこと、M&Aのアドバイザーをしている人数は増えたが真のプロはわずかであることに起因する。残念ながら、M&A案件を紹介する程度の独立系の会社は存在しても、大きな再生案件を取り仕切るような会社はない。しかし今ないからといって放置していい問題ではない。充実した布陣の独立系のM&Aファームがいくつも市場に登場することが望まれる。



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